2008.05.23

2と3の音の考察 -管内の乱流が吹き心地を悪くしている

■問題点
今度知り合いの結婚式で笛を吹くようお願いされてしまいました。早速練習をしはじめて改めて気づいたのが
2 [歌  ●●● ●●○]と3[歌  ●●● ●○○]の音がかすれるというか伸びが悪いのです。

※1オクターブ目は伸びがよいが、2オクターブ目の伸びが悪い
※1,4,5,6は1,2オクターブ目とも伸びが悪くない
※2より3の伸びが特に悪い
※篠笛では同じ現象は起きない。リシ笛はたぬ笛より伸びがよいが篠笛より若干かすれる。

■管内の乱流が原因!?
 たぶん原因は管内で乱流が発生して音の伸びが悪くなっているのでしょう。
 乱流とは流体が非定常的な流れになっている状態で、例として蛇口の水が少ない間はまっすぐに落ちている(層流)が、水が多くなると乱れた状態のことで、抵抗を増やすので流体力学として物理の主題の一つになっています。

※速度が増すと乱流になりやすい(1オクターブ目は伸びがよいが2オクターブ目は伸びが悪い)
※指穴の間隔が他と違い狭くなる2,3孔で発生しており、間隔が同じ篠笛では発生していない

 ことからも2,3の音の伸びの悪さは乱流が発生しているからと考えてよさそうです。

■乱流を少なくする方法
a. 発生源の大きさを小さくする
 乱流の発生元は接近している2孔に対しての3孔と思われます。3孔の直径を小さくすればよいでしょう。
 リシ笛では3孔は小さくなっていますが、たぬ笛では指穴サイズは揃えていました。
 3孔を小さくすれば同じピッチを得るためには管頭側によせる必要があり、下記bの距離を離すことにも
 つながります
b. 発生源から距離をあける
 2孔と3孔の間はミとファなので他の指穴と違い半音なので距離が小さいです。
 2孔を大きくすれば同じピッチを得るには管尻側によせる必要があり、2,3孔の距離が離れます。
 また2オクターブ目の筒音である1の音は他の音より伸びがよいですが、これは管の直径>指穴
 だからでしょう。指穴は大きくすればするほど音が大きく伸びがよくなりますが、指でおさえられる
 サイズが上限のため、10.5mm程度になっています。2孔だけ大きくすることで、抵抗が減り
 音の伸びがよくなる効果もあると思われます
 これがリシ笛などで2,3孔の大きさが違っていた理由なのですね。
c. 抵抗の少ない形状にする
 流線型と言われる形は乱流をおさえるためです。リブレットといわれる筋が飛行機の翼表面にはあり乱流を
 押さえているそうです。
 3孔の乱流をおさえるために、流線型になるように3孔の管尻側内壁をアンダーカットしてみました。
 早速試してみたところこのアンダーカットだけでも伸びがよくなりました。
d. 乱流を分散する
 ゴルフボールにへこみがある(ディンプル)なのはボールの進行方向後ろで発生する乱流を減らすために
 ボール全面で乱流が発生するようにしているそうです。この方法は今回の対象外かな。

■対応
 上記a. b. c.が効果があるように思います。
 次につくる時に試してみたいと思います。


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2008.01.12

竹の横笛に塗る仕上げ剤は何がよいか?

昨年和竹さんにお会いして竹をオイルフィニッシュで仕上げていらっしゃいました。
また和竹さんは化学に詳しく塗装の化学的解説をしてもらう機会を得ました。

今年の正月は0:00から住吉神社で年越獅子舞奉納をいたしました。冬の深夜に屋外で笛を吹いたのは初めてですが、5分も吹いていると激しく結露して詰まってしまいました。篠笛で内壁が漆塗りになっていてもこの状態でした。

防湿と長持ちさせるために、たぬ笛の内壁に何か塗ることを考えようと思いました。
しかし以前リノキシン(亜麻仁油)を塗って音の輪郭がぼけてしまったように吹き心地が悪くなったことがあります。たぬ笛に最良の塗装を求めて、和竹さんにお話を伺えたことをきっかけに笛の塗装の化学考察をしてみます。

■漆・カシュー等塗膜のできる塗装
本漆かカシューかまた塗った後に拭き取る方法等いくつかバリエーションは考えられますが防湿と強度はもっとも高いでしょう。しかし篠笛がそうであるように1オクターブ目の低音の魅力が薄くなるように感じます。たぬ笛では低音の魅力を大事にしたいので塗膜のできる塗装は除外します。

■柿渋
以前柿渋を使っていたことがありました。柿渋は江戸時代には合羽に塗られていたりと紫外線に当てることで薄い塗膜を作るそうです。化学的にはカキタンニン等の複数の化合物です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%BF%E6%B8%8B

防虫の効果もあることは自分で確かめましたが、柿渋は水溶性のためせっかく乾かせた竹を再度水につける必要があります。また笛の内壁はあまり紫外線が当たらないので効果的な防湿にはならないと判断して使うのを止めました。(はっきり言葉になったのは和竹さんのおかげです)

■乾性油
木工製品などでオイルフィニッシュと言われる植物性の油を木材表面に浸透させ乾くことで固まり保護材とする方法があります。
油脂には不飽和度の高い(酸素と結合することで重合し固まる脂肪酸が多く含まれる)乾性油と半乾性油(ごま油等)、不乾性油(オリブ油等)があります。
重要なのは乾性油と言っても液体中の水分が乾燥して固まるのではなく空気中の酸素と結合して固まるということです。

今回は乾性油の中で何がよいかを考えます。

http://tezukuri.hayashi-chem.co.jp/recipe/syu02.htm
http://www.tai-workshop.com/oil/o-05.html

沃素価 主成分
桐油 155-175 エレオステアリン酸(70-90%) 飽和酸は2~7%
荏油 192-210 リノール・リノレン
亜麻仁油 165-197 リノレン酸(40-61%) ※飽和脂肪酸を10%程度含む

※沃素値は不飽和度を測る値で多いほど不飽和度が高い=固まりやすいです
※ただし不飽和度が高くても飽和脂肪酸の成分が多いと固まりにくくなります
※桐油は酸素との結合が共役二重結合なので沃素値以上の固まりやすさになるようです

乾燥性(固まりやすさ)は
桐油 > 荏油 > 亜麻仁油
だそうです。ホームセンターのオイルフィニッシュのコーナにもおいてあるのはこの3つメインでした。他にくるみ油がありましたが、沃素値も低く共役二重結合でもないようなので桐油と亜麻仁油を試しました。

竹を割って内壁が見えるようにして無塗装、亜麻仁油、桐油を2度塗りして1日おいた上に水滴をたらしてみました。写真は撮ってみたのですがわかりにくいので文書で説明します。

Tanglinoxin○無塗装
 水滴が1分もしない内に体積が小さくなり、内壁に吸収されていきました。
 拭き取ると水の跡が残ります。

○亜麻仁油(リンシードオイル)
 水滴の体積は見えるほどは小さくなりませんでした。
 拭き取ると水の跡が残ります。
 表面を指でなぞると少ししっとりした感触です。
 塗ってから1週間ぐらいでそれ以上変化しなくなりました。

○桐油(タンオイル)
 水滴の体積は小さくなりませんでした。
 拭き取っても水の跡は残りません
 表面を指でなぞっても無塗装と同じようなざらざらした感触です

 拭き取っても水の跡が残らない桐油の防水性がもっとも高いようです。
 またギターにオイルフィニッシュしている人が感想をあげていましたが、亜麻仁油の場合乾燥するまで半年ぐらいかかり音の輪郭がぼやけたと書いている方もいました。

 竹主喜の実験では薄く塗っただけなので1週間ぐらいでしたが乾燥するまで音色が変わってしまうようです。防水性からも表面の感触からも桐油を笛に試してみたいと思います。

 次は内壁に桐油を塗った笛を作ります。
 

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2007.03.21

竹の内径加工4 実際の笛での実験

■加工内容
 昔作った加工してしまっても惜しくない笛で下の写真のように試してみました。
 青い色のついた部分約1cmの幅で内壁を0.1~0.2mm程度削りました。竹内壁が3.3mmの笛だったので約5%削ったことになります。

Naikeicut

■結果
 ○管尻側、管頭側どちらを削ってもピッチはあがりました。
 ○管尻側だと筒音が低音+10c、中音+5c程度あがりました。差分だけオクターブ比がさがり2.0に近づきました。
 ○管頭側だと全開音が低音+5c、中音+10c程度あがりました。差分だけオクターブ比があがり2.0に近づきました。
 ○どちらも拡大した内径に最も近い指孔が影響を受けるようですが離れる程影響は少なくなるように思えます。
 ○管尻と管頭の内径拡大を両方行い5~10c弱分オクターブ比が改善しました。

■考察
【内径の拡大は端補正を短くする】
 ○ピッチの同じ笛なら太い笛の方が細い笛より短くなります
 ○つまり同じ長さなら太い笛の方が低くなります。
 ○今回内径を拡大することでピッチが「高く」なりました
 ○ピッチが高くなるということは仮想的に短くなっていることとになるはずです。
 ○端補正が短くなっていると予想されます。
 ○実験した笛の筒音の端補正値は40mmです。(実際の長さと理論値差分)
 ○A管の筒音で10cは2~3Hzです。長さにして約2~3mmでしょう。
  40mmの端補正の2~3mm(約5%)短くなっているようです。

 なぜ内径を拡大する位置の差で低音と中音でピッチの変化度合いが違うのかを説明する理論がみつかりません。どなたか分かりませんか?
 
 

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2007.03.17

竹の内径加工3 -オクターブ比改善のために

 さて内径を加工する道具は揃いましたが、内径のどこをどのように削るとどのような影響が出るかが分かりません。
まずは実験で内径を太くした影響を調べてみます。

大変参考になったのが岩茸さんのHPで紹介されていた、
バロック・リコーダーの内径形状と基本音の共鳴振動数
のページでした。管が太くなるテーパーの考え方は高校の微分の授業を思い出しました。
何より実験の方法が大変参考になりました。誠にありがとうございます。

■実験道具
Pipes 写真のようなパイプを用意しました。太いパイプが内径20mm、細いパイプが内径15mmでプラスチックリコーダーにほぼはまります。いくつかの長さの細いパイプと太いパイプを組み合わせることで途中が太くなっている管のオクターブ比を測定しました。
 長さは全て20cmになるように揃え、歌口側の左から3cmのところに5mmの穴をあけて筒音と全開音のオクターブ比を測定できるようにしました。


■実験結果一覧

低音765 Hz553 Hz
中音1238 Hz1158 Hz
オクターブ比1.622.09

低音920 Hz548 Hz
中音1220 Hz1150 Hz
オクターブ比1.332.09

AB
低音920 Hz525 Hz
中音1170 Hz1070 Hz
オクターブ比1.272.04

低音944 Hz512 Hz
中音1214 Hz1130 Hz
オクターブ比1.292.21

低音678 Hz500 Hz
中音1253 Hz1205 Hz
オクターブ比1.852.41

低音1020 Hz500 Hz
中音1215 Hz1155 Hz
オクターブ比1.192.31

C
低音730 Hz550 Hz
中音1220 Hz1168 Hz
オクターブ比1.672.12

■考察
○3段目のA(9cm-5cm-6cm)の筒音オクターブ比が直管の2.09に対して2.04になっていることから、
 内径の太い部分を管尻に近づけると筒音のオクターブ比が下がり2.0に近づくようです。
 ただし全開音のオクターブ比もさがり2.0から遠ざかり悪化します。
○3段目のB(5cm-6cm-9cm)の全開音オクターブ比が直管の1.62に対して1.85になっていることから、
 内径の太い部分を管頭に近づけると全開音のオクターブ比があがり2.0に近づくようです。
 ただし筒音のオクターブ比もあがり2.0から遠ざかり悪化します。
○内径の太い部分の長さを大きくするとAとBの悪いところの合成になり筒音・全開音両方の
 オクターブ比が悪化します
○5段目のC(5cm-2cm-6cm-2cm-5cm)の形にすると、この例では筒音オクターブ比が直管より若干
 悪化していますが、調整次第で筒音と全開音のオクターブ比を両方改善できるように思います。

 次回実際の笛で試してみますが、管尻側は1孔と管尻の間、管頭側は6孔と5孔の間を太くすればよいように思います。

★必読! [2007/03/25]
円筒管の内径を局部的に修正したときの効果
 Bingoさんがこのことをわかりやすく解説してくださいました。ほんとにありがとうございます。

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2007.02.17

歌口は竹の「峰」に開ける!

 たぬ笛をつくっていてずっと課題なのが音色が痩せているような気がすることでした。ロングトーンで音を出している時はよいのですが曲を吹いている時に痩せているように感じます。この痩せているを物理的に言い換えるとどうやら倍音成分が2,3倍ぐらいはあるのですが4倍音以上が少ないことがあるようなのです。測定はSoftTunerのスペクトル表示で見ています。残念ながら演奏している時だけなのでうまく画像がキャプチャーできません。

 倍音成分の多い少ないは何で決まるのか手元にある本で調べました。一番わかりやすかったのが
『ピアノの音色はタッチで変わるか―楽器の中の物理学』にフルートや尺八はどのようにして鳴るのか - 音色はどのようにしてきまるのか(p82)でした。
 パイプオルガンの研究で、管の共鳴はエアリードのエッジとジェット(空気の流れ)の中心が少しずれること(偏心=オフセット)で空気がエッジで高速に出たり入ったりが行われ空気の振動になり音になるとのことでした。そしてオフセットの距離(エッジとジェットの中心のずれの距離)によって倍音成分が多くなったり少なくなったりが決まるとのことでした。

 たぬ笛はこのオフセットを適切に保ちにくいのでしょう。では何が原因かよーーく笛をためつすがめつしました。
ふとリシさんのHPに「楕円の竹は深い方に(縦長の頂点に)歌口を開けた方が音がイイ」と書いていたのを思い出しました。指先の感覚とノギスとで確認したらほとんどの竹は円に見えても1mm程度の差がある楕円になっているようです。今までは節からの角度で歌口をあけていましたが、考えてみたら根拠がありません。
 鳴りが音色がいいと思うたぬ笛を調べるとたまたま竹の峰(楕円の長い径の頂点)に近いところに歌口があいていました。予想ですが、竹の峰に歌口をあけるとエッジがより立って(ジェットに対してより垂直になって)きます。そのためオフセットの調整を演奏者が意識せずに行いやすいのでしょう。

 今日C管を1本作ってみたら少なくともこの1本の鳴りはよい!これから歌口の開け方を竹の峰に開けるようにします。

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2006.09.25

小学5年夏休みの竹笛研究

Natsukenkyutakefue 先日の第一回響歌合宿に小学生の女の子が一人参加していました。

 リシ笛製作教室を夏休みの自由研究のレポートにまとめたそうで、たぬ笛のサイトも参考リンクにあげてもらって資料のコピーをいただきました。最近の自由研究は親の力作になることも多いのだそうですが、このレポートは科学的な分析もしてはありますが、参加して楽しかったことが強く伝わってくるレポートにまとまっていました。

 これからは特に学校では科学と芸術の融合ができる人を育てるべきなのでいい題材になっているんじゃないかと思いました。

 発表の時は自作の笛で「ほたるほたる」を吹くそうで練習しているのも見せてもらいました。
 発表がんばれ!

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2006.06.07

純正律長調と短調

大阪の青木様から純正律には長調と短調があることをご指摘いただきました。
早速純正律長調と短調の周波数の比を計算してみました。
短調はラが基音なのでドレミの順に変換しました。

純正律短調ファ
19/86/54/33/28/59/52
↓ドを1にすると↓
12/516/15110/95/44/33/25/3
↓ドレミ順に並べ直すと↓
ファ
110/95/44/33/25/315/82
純正律長調ファ
19/85/44/33/25/315/82

 どうやらレが純正律長調より更に低くなるようです。
 周波数表も変更しました。

○基音(440Hz等)から平均律・ピタゴラス律・純正律長調、純正律短調の音階の周波数を求める計算シート(excel)

 なお各管を短調に直すと以下のようになります。

筒音が左の長調CB♭AGF
対応する短調AmGmF#mEmDm

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2006.06.05

ピタゴラス律の周波数を勘違いしていました!!

 今回純正律の笛を作るために計算をしていて、今までピタゴラス律の周波数を求める式の解釈が正しくないことに気づきました!!

 平均律を求める際は基音のAの周波数を元に12音階を求めていました。
 ピタゴラス律を求める際もその音階のAを基準に計算していました。これでは周波数がずれるだけで平均律と一緒になってしまいます。ピタゴラス律はその調のドを平均律で計算して、そのドを基準に計算すべきでした。
 平均律の笛をたくさん作っていたことになってしまう…

 周波数計算シートと横笛指孔位置計算シートを修正しました。


○横笛指孔位置計算シート(excel)
○基音(442Hz等)から平均律・ピタゴラス律・純正律の音階の周波数を求める計算シート(excel)

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2005.06.19

ペンタトニック音階

 B-MADさんにも指摘を受けた「たぬ笛の味」について考えています。カオンさんにも以前「素直な」笛であると評していただいています。改良点という意味では味が足りないということでしょう。
 そこでふと思いついたことがあります。お箏など日本の典型的な音階は5音階(ペンタトニック音階)です。ペンタトニックとはドレミファソラシドの内5つの音だけを使う音階のことです。元はスコットランド民謡のほたるの光やさくらさくらなどペンタトニック音階は民謡・童謡に多く見られます。
 ちょっと勉強した限りですが、基音をドで始めるのかミで始めるのかなどによって何種類かあるようですが、使っている音を平均律的に考えればペンタトニックは以下の種類があるようです。

○ドレミソラ
 雅楽 -呂・律旋法
 かごめかごめ、花いちもんめ等 -里謡陽旋法
 スコットランド民謡・軍歌・唱歌など -4・7抜き長音階
 こきりこ節 -こきりこ陽旋法
○ドミファラシ
 お琴、さくらさくらなど -陰旋法
 数え歌、子守歌等 -里謡陰旋法
○ドミファソシ
 沖縄民謡

 さてここがポイントですが、笛の音階の中でペンタトニック音階を少し高めに(もしくは残りの2音を少し低めに)すればよりペンタトニック的に聞こえるのではないでしょうか?
 そう言えばリシさんのコメントでリシ笛との違いが以下のように書き込まれていました。

>「4孔が管尻方向に3mm位近くて、6孔も管尻へ3.5mm位モ寄ってるヨ!!!♪♪♪♪♪」

 これはレとファを低くしていることになります。音階としては若干違いますがやはり5音階が立つ(少し高めにしている)ことは違いがないようです。
 次はこの3パターンの調律をしてみようと思います。

2005/06/19更新
 この案は完全なアイディア倒れでした。笛を作っても思ったようにいかないので、低くする2音をマスキングテープで少し塞いで音が低くなるようにしました。低くしすぎると出来の悪い笛だし、かわらず区別がつかないか…
竹主喜が違いを感じられないだけかもしれませんがまあトライ&エラーの一つということで…

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2005.06.18

平方根の夢?!

 最近自然に含まれる黄金比とフィボナッチ数列の関係に注目しています。
 黄金比とは人間が美しいと感じる長方形の縦横比でクレジットカードの縦横比を初め各種の縦横比に使われています。絵画にも音楽にも黄金比a:b=b:(a+b)が含まれていると言われています。
 フィボナッチ数列とは1,1,2,3,5,8…と1,1で始まり最後の2項目の和が次の値となる数列です。フィボナッチ数列は数値が多くなるに従って最後の2項目の比が(1+√5)/2=1.6181…という黄金比に漸近します。フィボナッチ数列も花弁の数は2,3,5,8,13…とフィボナッチ数列で示される値が多いであるとか、巻き貝のサイズといった自然に多く見られます。

 これはきっと笛制作にも何かある!と直感しました。1/1.61≒2/3であり、歌口の大きさがだいたい内径の2/3であることも偶然の一致かもしれませんが何かありそうです。しかしそれ以上具体的に見えて来ません。

 ずーっと考えていたら寝言で『8の平方根と〜をムニャムニャ…』などと数字を羅列する寝言を言って笑っていたとか。右脳はもう何かつかんだのかなぁ。起きている時の左脳でも早く分かって言葉にしたいものです。

 みなさんの直感で何か浮かびませんか?

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2005.03.26

オクターブ比と歌口

 先週Q値の理論を受けて、できるだけ太いG管(手頃なのが内径16mmしかなかったです)で鳴りのよい笛を作ろうと歌口をあけて、筒音のオクターブ比を測ったところ3本とも2.05以上で、最大が「2.08」!使えません。
 今回歌口を11mmで開けたのが原因です。

 リシ笛 歌口を創るにもありますが、歌口の位置は管尻に寄せるほどオクターブ比が下がり、管頭に寄せるほどオクターブ比が上がります。ただし竹主喜の経験では管頭から20mm以下にしても変わりません。
 また歌口のサイズですが、こちらは実験していませんでしたが、大きくするほどオクターブ比が下がり小さくするほどオクターブ比が上がるそうです。
 そもそも音色の面からも歌口は内径の80%にすべきで、16mmの内径に11mmでは小さすぎました。
 今日は小刀で歌口サイズを11mmから12.5mmまで大きくしたらオクターブ比は2.08->2.06まで下がりました。歌口サイズを同じ位置で大きくするとオクターブ比が下がることは確かなようです。

2005/03/28更新 虎竹のグラフ内の系統を分けました
octave たぬ笛のデータを散布グラフにしました。横軸がオクターブ比、縦軸が歌口面積x管頭の体積です。確かに歌口面積を大きくするか管頭体積を大きくする(=歌口を管尻に寄せる)とオクターブ比は下がる傾向あるようです。ただ管頭の形状の違いもあってかきれいな分布にはなっていません。

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2005.03.22

ヘルムホルツのレゾネータをオーディオルームの吸音に

 オーディオが趣味の友人から相談をもちかけられました。オーディオルームで約100Hzの定在波が発生しているので吸音を考えていたところ以下の記事を見つけた、計算がどうしても合わないので見てくれないか…と。

HiFiオーディオ教室 「レゾネーターの利用」

 読むとヘルムホルツのレゾネータの式ではありませんか。この式はオカリナの共鳴周波数を求める式で横笛にはあまり関係なかったのでよく読んでいませんでしたが、そこは手慣れたもの、計算式をエクセルのシートに作成しました。他にもRALスペクトル分析ソフトを紹介したりして音つながりが少し広がりました。

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2005.03.20

笛の「鳴り・抜け」とQ値

q 電気工学の世界ではLC共振(発振回路)の性能を示す値としてQ値が使われます。共振・発振周波数において共振・発振電流が電源電流の何倍になっているかを示す値がQ値です。笛でいうと息の何倍の強さの空気量=音量が出ているかを示すといえそうです。

■フリー百科事典ウィキペディアよりQ値


 笛で「鳴り」や「抜け」が良いと呼ばれる感覚は、電気工学のLC回路に置き換えればQ値が高いといえるように思います。ではQ値を高くするにはどうすればよいのでしょうか。Q値は以下の式で表されます。

Q = ωL / R ※ω=2πf L=コイルのインダクタンス R=抵抗

 wikipediaの解説にもありますが、Q値を上げるには抵抗を下げ、インダクタンスを増やせばよいのです。
 抵抗とは笛の場合管内壁の空気抵抗と置き換えられるでしょう。やっぱり内壁の磨きが重要ということか…。
 インダクタンスは笛の場合管内部の空気の渦と考えられ、以下の式で表されます。

L = k r2 n2/ l ※k=長岡係数 r=コイルの半径 n=コイルの巻数 l=コイルの長さ

 コイルの場合巻数と長さは別の変数ですが、笛の場合同じ値と考えられます。よってインダクタンスは
・半径の二乗に比例して増加し
・長さに比例して増加する
 ことになりそうです。
 鳴り・抜けをよくするには

a) 内壁を磨いて空気抵抗を少なくし
b) より内径を太くし
c) 共振・発振部を長くする = 指孔を大きくしてより管尻位置に寄せるようにする

 全てすでに分かっていたことの確認でした。ただb)は太くしすぎると大甲音が出なくなりますし、c)はオクターブ比の改善にもなっています。大甲音が鳴るぎりぎりの太さの理論値など、ここをより深く理解できれば端補正値とオクターブ比の理論が解明できる気がします。
 たぬは花粉症で頭がぼうっとしてオーバーヒート気味です。ヘルプ求む!

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2005.03.19

開口端補正値

 弦楽器は弦の長さと張力でピッチが決まります。しかし管楽器は管の長さよりも実効長は少し長くなります。
この長さを管尻(筒音)で開口端補正値といい、高校物理の教科書では管半径 x0.61と記述されています。
しかし笛を作るとこの値が全く違っています。歌口をふさぎ気味にするため閉管になっているから等説は多くありましたが、教科書に書いている内容は正しくなく、『開口端補正値=波長/8 - kr』という説を物理的に証明しようとされおられる方がいらっしゃいました。塾の先生だそうですばらしい研究です。

■気柱共鳴の物理

kaitan-hosei-graph たぬ笛の過去データから管内径(直径)と筒音の開口端補正値を分布グラフにしてみました。
周波数の高い(波長の短い)C管では開口端補正値は小さく、低い(波長の長い)F管では開口端補正値は大きくなっています。説の通り開口端補正値は内径に反比例する関係が読み取れます。ただ竹の管頭の形状の違いによるのかきれいな直線分布にはなりません。全長は計算式だけでは求めることは難しく、長さを切りそろえながら測定する必要がありそうです。しかしこの後指孔の端補正値を考えるヒントになりそうです。(まだ詰まっていますが)


 ちなみに狩野さんの実験によると開口端補正値はある長さ以下になると管の長さが短くなっても開口端補正値が長くなるそうです。
この実験は内径13mmだそうで、250mm以下の管では開口端補正値が大きくなっています。開管の波長は管の長さと考えられます、250mmまではほぼ長さの1/8になっていて実験値とよく一致しています。250mmで動きが変わる理由はなぜでしょうか?

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2005.03.16

横笛はRLC並列発振回路だった!

 たぬ笛で思いつく問題点は全て対応して一段落したので、原点に戻り再度音響物理の理論を調べ直してみました。大きな気づきがあったので途中まで記事にします。

(1)全ては波動である
 『横笛の物理学』で横笛のサイトなのにωだのインピーダンスだの電気工学の用語を載せました。音響工学は音という空気の波を扱いますが、電気工学は交流という電気の波を扱います。空気と電気という違いはあってもどちらも波を扱う考え方は同じだと気づいて音響工学に電気工学の用語が出てくることは理解できました。
 横笛を部品に分解すると管頭は空気を溜める機能があるためコンデンサーに相当し、筒は空気が回転して渦になるためコイルに相当すると考えられます。交流電気をコンデンサーやコイルに流すと抵抗が生じます。この抵抗をインピーダンスといい物理式から端補正値を求めようとしたのですが、残念ながら実測値の35-50mmとは一致しませんでした。ここまでが初回の『横笛の物理学』で考えた内容でした。

LC これまではコイルやコンデンサーの単体としてしかみていなかったのですが、今回は組み合わされた回路として見てみました。するとコイルとコンデンサを組み合わせたそのものずばりの回路がありました。『LC並列発振(共振)回路』といい電気工学の教科書には必ず出てくる基本的な回路です。Lはコイル、Cはコンデンサを示します。歌口から吹き込む息を交流電源とし、管頭の空気がたまる部分をコンデンサ、空気が渦を作る管をコイルと見なした回路図が右です。

 ややこしい説明を飛ばすと、LC並列回路ではコンデンサとコイルの性質から共振が発生し、一定の周波数で入力した電源の何倍もの出力が得られます。電気回路ではアンテナをつけて同調回路(チューナー)として使われたり(共振)、交流電源をつないで正弦波の発振器として(発振)使われます。無理矢理簡素化して携帯電話でたとえると電波の受信や送信機能に使われています。音と電気の違いはあるものの同じ機能ではありませんか!

 やはり音も電気も波は同じなんだなぁと竹主喜はかなり感心しました。考えてみれば光も波長の違いで色が変わるし世の中は全て波動でできているんだ!と感心したので右脳派で少しスピリチャルな趣味のある妻に話したところ…「世の中が波動だってやっと気づいたの!!」と言われてしまいました…
 妻に影響されて竹主喜も精神的に考えれば、送信も受信も同じLC回路ということは、演奏者がアンテナになれば横笛は演奏者が受信した波動と同調し発振する回路になるのでしょうか。

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2005.03.12

中根東八幡社神楽

Googleで「たぬ笛」を検索してみると見つけました、お仲間サイトを。

中根東八幡社神楽 『笛をつくる』

 リンクのページに「たぬ笛のページ」があったので見つけることができました。神楽の独自の音程を再現する笛を作るため、塩ビ管で管の長さ、太さ、孔の大きさを実験で値を計測しグラフにしておられます。あんまりおもしろいのでメールをさしあげたところお返事をいただきました。参考になりそうな技術部分を引用します。

塩ビ水道管の笛は、どうしても5〜7孔のオクターブ比が1.95以下ぐらいに
なってしまいますね。ただ、うちにある女竹の篠笛でも、内径の細いもの(内径
11mm以下)はやっぱり5〜7孔のオクターブ比が良くないようです。

一般的に、フラットな内径では、1→7孔になるにつれて開口端補正が大きくな
りますが、内径が細いとこの傾向が強くなるようです。太いものは、比較的オク
ターブ比が良いようです。
また、フラットな内径では、内径が細くなるほど開口端補正は全体に小さくな
ります。ただ、呂音に比べて甲音では小さくなる程度が少なく、特に唄口に近い
指孔ではその傾向が強いようです。
ということで、唄口に近づくにつれて太くなるような女竹の篠笛では、太さの影
響で5〜7孔あたりの甲音の開口端補正がやや小さくなるので、オクターブ比が
良いのだと考えているのですが、いかがでしょうか。

太さが均一な細めの「たぬ笛」では、オクターブ比はどうなんですか?

 オクターブ比の話ですね。甲音か乙音の調律が合うようになれば、次に問題になるのがオクターブ比です。オクターブ比の向上(2.0に近づけること)が笛の性能を決めますから重要ですよね。
 さてここでは管尻から1,2,3孔と数えているようです。
 たぬ笛ではオクターブ比は1孔(筒音)が2.02-2.05、6孔(歌口側/7孔はありません)が1.95以上になるようにしています。1.95以下はB級品にしています。竹主喜の実感ではオクターブ比は指孔の大きさ、内径、材質の順に影響を受けているように感じています。
 確かに内径は太い方が同じ調で指孔が同じならオクターブ比が平均的によいようです。調に対してあまり太すぎると大甲音がでなくなってしまいますが…
 材質は同じサイズ(長さ、歌口位置等)でも女竹は1孔のオクターブ比が2.02-2.05になるのに、虎竹では大体2.00です。 
 指孔の大きさが最もオクターブ比に影響しているようです。指孔を小さくすると同じピッチにするにはより管頭に寄せる必要があります。そして管頭に近づくほどオクターブ比は悪化します。
 オクターブ比をよくするには内径が太く指孔が大きい方がよいようです。細くて指孔が小さいとオクターブ比1.95以上を維持することはかなり難しくなっています。

 かのうさんコメントお待ちしております。
 

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2005.03.05

歌口のショルダーカット

 先週ヤマハのフルートの解説ページで歌口のショルダーカットとアンダーカットについての解説のページを見つけました。歌口の管頭と管尻方向の管内壁を削ることをアンダーカット、エッジを削ることをショルダーカットというそうです。アンダーカットは息のスピードが早くなり、ボリューム感が増し、遠鳴りのする響きが得られ、音色変化がつけやすい効果があるそうです。ショルダーカットは息の入口を広げることで、響き全体をまとめる効果があるとのこと。

■楽器解体新書 フルート(ショルダーカットの図示があります)
■フルート歌口とアンダーカット
■歌口のカット

 今までもレスポンスがよくなるので指孔と歌口のアンダーカットは行っていましたが、今回歌口のアンダーカットを更に多めにしてみました。歌口の壁を磨いた時のように音が大きくなりました。その後ショルダーカットを施すと音の大きさをスムーズに変化させるようになったと感じました。
 マイナス点として音が2-3Hz高くなります。これはチューニング前の歌口を作る時点でカットすれば対応できるとして、もう一つ問題があります。強く吹くと音色がやかましい感じになるような気がします。数値で表現は難しいですが、アンダーカットは今回ほど大きくしすぎない方がよいように思いました。

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2005.03.01

節の断面とテーパー

fushi-danmen そーれーさんにいただいた竹は節も含めて断面になっていました。竹主喜は今まで節の断面を作ったことがなかったので見て驚きました。先日ヤマハのフルートの解説のページで見たテーパーとほとんど同じ形です。この竹ならYテーパ(中・高域の抜けが良い)かCテーパ(ストレートな音抜け)というところでしょうか。ちなみにこの竹は節こぶが結構あります。節こぶがあればYまたはCテーパに近くなり、節こぶがなければGテーパー(豊かで芯のある中・低域)に近くなると考えるとこれまでの経験と一致します。
 竹の横笛の音色が1本ずつ違うのはこのテーパ部の形状の違いが大きく影響しているのでしょうね。やっぱり節の形は大事だったんですね。
 そーれーさんは節の断面を送るつもりは無かったかと思いますが、おかげでまた一つ発見がありましたありがとうございます。

フルートのテーパ

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2005.02.22

指孔仕上げをミクロで見ると

yubiana_surface1 指孔・歌口の断面はそのままでは撮影できないので、撮影できるように調律に失敗した笛を写真のように切りました。これで指孔断面の撮影ができます。

yubiana_surface_before
yubiana_surface_after
焼締直後焼締後やすりかけ
 どちらも上が指孔の上にあたります。右の写真は右上が上になります。指孔を磨くことで竹の繊維にそった筋がきれいにとれています。筋があることで空気が乱流になったりして抵抗が高くなっていたのしょうね。

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たぬ笛を快適に吹ける気温

リシさんがコメントで書いてくださった
>シカシ冬の間は寒い屋外じゃ〜、笛が直ぐ湿っチャッテ全然鳴ら無くて演奏出来無いカラ
が気になって調べてみました。
元の歌が分からないのですが、確か平安の歌にも「袖濡らす 笛の露…」というのがあった気がします。
竹主喜が冬の屋外で篠笛の練習をしていてほとんど1曲ごとに笛の露がしたたったことがありました。
これは息の中の水分が結露していると思われます。リシ笛やたぬ笛のように内壁を塗装していないと結露すなわち水分を含んでしまって吹きにくくなるのでしょう。では結露しない気温をおおざっぱに計算してました。

 呼気の35℃/湿度100%ですが、笛を吹く時に50-70%の空気と混合されます。仮に混合の結果が20℃ 湿度60-80%になるとして計算します。
 20℃の飽和水蒸気量(湿度100%で1m3に含まれる水分量)は17.3gです。湿度60-80%なので、10.4-13.8gです。15℃の飽和水蒸気量が12.8gなのでおおざっぱに言って12-16℃ぐらいで結露しそうです。
 15℃以下で演奏は避けた方がよさそうですね。そんな気温では指がかじかんでしまいそうですが。

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2005.02.13

端補正係数の検討

指孔が小さい場合の指孔位置を計算式に反映すべく考察を行いました。
結果今まで活用していなかった端補正係数をより細かく使うことになりそうです。

たぬ笛の式は音響物理を元にしていますが、一種類だけ係数が含まれています。係数とは計測値や物理的な法則の計算によらず経験則で値を求めている部分です。
管尻の端補正値は筒音の周波数と管長を測定することで計算することが可能ですが、指孔の端補正値は管尻の端補正値とは1.3〜1.8倍程度と大幅に異なっており、しかも指孔ごとに倍率が違います。指孔ごとの端補正値を求めるために管尻の端補正値との倍率を端補正係数としています。

これまで端補正係数はそれまでに作った笛の実測値から1.45-1.50をC-F管、指孔サイズによらず共通で使っていました。しかしG管で指孔が8.5mmの場合は端補正係数は1.70-1.75と大幅に違っていました。同じ指孔が8.5mmでもC管の場合は1.45-1.50で問題ありません。どうやら管内容積と指孔面積の比率で端補正係数が決まるようです。

するとC,B♭,A,G,F管の5種類 x 指孔8, 8.5, 9, 9.5, 10, 11mmの6種類のマトリックスの30パターンの端補正係数が求められます。これまで作成した笛のデータを再分析してこの30パターンの数値を管内容積と指孔面積の比率を元に求めました。求まった端補正値を過去の笛に適用してみても、今まで何本かに1本特に指孔サイズを変えると勘で微調整する値が大きかったのですが、これで勘の微調整は1-2mm程度にできそうです。

数値内容に興味がある方は竹主喜までメールでお問い合わせください。

2005/02/13追記
指孔の大きさと端補正係数の関係をまとめると以下の結論になります。

○指孔は大きい方が笛の性能(オクターブ比)がよい
○指孔のサイズを変えることで音程通りにつくるには指が届きにくい場合に対応できる

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2005.02.11

指孔を小さくすると…

 竹主喜はこれまで指孔のサイズをG,F管は10mm、A,B♭,C管では9〜8.5mmにしていました。
 今回指の細い方用にG管の指孔を8.5mmにしました。驚いたことに指孔が10mmの場合に比べ指孔の位置を10〜9mm歌口側にずらす必要があるのです。10mmと8.5mmでは差は直径で1.5mmですから10〜9mmの位置のずれはまだ式を改訂する必要があるようです。
 理論的には指孔が小さくなることで抵抗が増え実効管長が長くなっていると考えられます。そのためより短い歌口-指孔の距離ですむため、指孔の位置を歌口側に大幅にずらす必要があるのでしょう。

 まだまだ横笛の製作は奥が深いようです。

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2005.01.15

節こぶと鳴り -妻の研究

以前節こぶの大きい竹で鳴りのよい笛ができたと書きました。
B♭-20041017-1
G-20050115、G-20050110の4本の笛はスペクトル図はほとんど同じですが、曲を演奏すると明らかに印象が違います。内径が太いと低音が豊かで細いと高音の鳴りがよくなる原則はありますが、4本を比較すると必ずしも原則通りではありません。妻が節こぶの大きさに注目して比較しました。

fushi-eda
左から順に以下の笛です。
G-20050115-1:妻の感想「森の中を吹き抜ける風の音」
G-20050115-2:妻の感想「月夜の海辺」
G-20050115-3:妻の感想「乙女の踊り」
G-20050110-1:妻の感想「朝靄の香り」

 節の枝が大きいと節こぶも大きいようです。どうやら節こぶが大きいと高音の鳴りがよく明るい印象の音になり、無いと落ち着いた印象の音になるようです。

 うーむさすが我が妻。えらい!♪

2005/01/17更新
■節こぶと鳴りの理論
 以前笛と特許で歌口付近の管内側形状を変更して高音を出やすくするフルートの特許を紹介しました。

笛と特許
特許公開平07−129152 フルートの歌口構造

 節こぶの効果はまさにこれと同じで空気の流れが速い時=高音で実質より細い管になる効果が得られて高音の鳴りが明るくなるのだと思います

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2004.12.29

笛と特許

 先日大手家電メーカで特許の仕事をしている知人と話す機会がありました。
竹主喜はソフトウェア特許やビジネス特許には否定的に考えているので特許そのものまで否定的にとらえていましたが、話を聞いて目が見開かれました。メーカの開発現場では特許を技術の排他利用のために使うというよりは技術開発・実装のアイディアデータベースとして使っているというのです。
 それならたぬ笛でも特許をそのまま使うのではなく考え方が参考になる特許もあるのではないかと思って調べてみました。最近はインターネットで特許情報まで調べられるのですね。

■特許電子図書館トップページ
http://www.ipdl.ncipi.go.jp/homepg.ipdl
■初心者向け検索トップ
http://www2.ipdl.ncipi.go.jp/begin/be_search.cgi?STYLE=login&sTime=1104284593901
 ※2004/12/30 18:00-12/31 4:00はサービス停止するそうです

○「横笛」の検索結果
 早速キーワードを「横笛」で検索したしたところ12件見つかりました。
 検索結果は直接リンクだとエラーになるようなので試してみてください。
  特許公開2003−015633 トーキング尺八(ナイ、ケーナ、)  などはそーれーさんの参考になるかも?

○「フルート 歌口」の検索結果
 別のキーワードも試してみました。特許になる横笛となると「フルート」かな?結果は395件でした。
少し多いのでキーワードを追加して「フルート 歌口」で検索したところ6件でした。
 その中では特許公開平07−129152 フルートの歌口構造がおもしろい。歌口部分だけ管を細くする効果があるので、高い音が出やすくなるはずです。
 この内壁の構造を作れば特許に抵触しますが、竹の節こぶが図の位置になるように歌口を切ればよいのでは!!!と早速参考になりました。
 2005/01/17更新 節こぶと鳴りを参照してください

○特許の権利と利用
 では特許の利用したい場合の制限を調べました。ここは素人の調査なので参考程度にお願いします。もし知っている方がいらっしゃればコメントお願いします。

特許法の条文としては下記になりそうです。

特許法 第六十八条(特許権の効力)
 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない

 他の解説を読みましたが、どうやら「業として利用する」とは経済的利益の有無にかかわらず個人の範囲を超えて利用する場合のようです。つまり技術の検証のため個人の範囲で作ってみることそのものは特許の許可を得なくてもよいように思えます。
 そしてメーカの知人が教えてくれたように、考え方を参考にして別の実装方法ができれば特許に抵触しないことも可能らしいです。
 あとは特許の詳細画面には特許権者の住所と名前もあるので連絡も可能なようです。

 ううむ、聞く耳を持って求めれば与えられるということかなぁ。

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2004.12.12

半月と音色 -竹横笛の可能性

竹の横笛では半音を出すために指孔を一部開きます。これを半月と呼びます。この半月とメリ・カリをスペクトル分析していておもしろいことに気づきました。
半月やメリ・カリは半音を出すためのものと思っていました。確かに指孔の開け具合とメリ・カリの度合いで半音・1/4音と中間ピッチの音を出すことができます。しかし半月を多用する篠笛の曲などでは「悲しげな音色」に聞こえます。ピッチだけではなく音色も変わるのではないかと思い調べてみたのです。

■指孔半月(リシ笛F管(2)の音)
spectrum-half 以前笛の上級者に吹いてもらったところもっと顕著にでたのですが、竹主喜では繰り返し試してみないと調整できませんでした。しかし半月、メリ・カリでピッチだけではなく音色を決める音の成分が変わるようです。
 音には最も周波数が低い基音とその整数倍の倍音が含まれます。大体8倍音ぐらいまでは含まれます。3倍音以上は個別にはわかりにくくなってしまっていますが、2倍音は全開と半月にした時で明らかに違います。

■指孔全開(リシ笛F管 1の音)
spectrum-full

 横笛は開管楽器ですから1,2,3,4..と全ての倍音が含まれます。サックス等の閉管楽器では1,3,5..と奇数倍音しか含まれません。横笛で指孔の開き方を小さくしたり、メったりすることで閉管的になり偶数倍音の割合が低くなっているものと思われます。

 竹の横笛はフルートと違い竹に孔を開けただけでキー構造はありません。それだけに半音は自分の耳で指の押さえ具合を調整して出す必要がありますが、フルートにはできないポルタメント(音を連続して移動する奏法)ができます。また音色の違いをだすことができる=より豊かな表現ができる楽器ととらえることもできるのではないでしょうか?

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2004.11.13

歌口の深さ理論式

『楽器の音響学』と歌口の形で歌口の深さ(壁の高さ)は5.6mmが音響工学的理論値らしいと紹介しました。実際手元の笛で計ってみると4〜6mm弱なのですが、竹筒の奥のためノギスが入らずどうしても正確に計れません。
 そこで内径・竹の厚さ・歌口径から壁の高さを求める理論式を下記のように計算しました。

○歌口断面幾何図
utaguchi-kika.jpgd : 歌口の深さ
t : 竹の厚さ
r : 竹内径(半径)
u : 歌口径(半径)  このdを求めます。

d = CF - CD
CF = √AC2 - AF2 = √(t+r)2 - u2
CD = √CB2 - BD2 = √r2 - u2
d = √(t+r)2 - u2 - √r2 - u2

 この式を過去の笛データに当てはめると3.2-6.9mmとなりました。本来rやtは歌口部分のサイズを使うべきですが、管尻を使っています。そのためこの実際の値は計算値より大きくなるはずです。
 手元の2本のリシ笛は4.0mmと4.4mmでした。4.0〜5.4mmぐらいが吹きやすい笛のようです。これより大きくなると吹きにくいと思った笛になります(その時は竹の顔を使っていませんが)。これより小さいと裏返りやすいです。実際『楽器の音響学』でも言葉はもっと厳密で長い説明ですが同じことが書いてありました。
 実際南房総の栗山様がよいと行って頂いた笛はd=5mmで他の試奏笛より大きい値でした。
 外径と内径は竹によって決まってすが、歌口の大きさを変えることで歌口の深さを調整できます。4.0〜5.9mmになるよう調整して作ってみたいと思います。

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2004.11.07

『楽器の音響学』と歌口の形

gakki-onkyogaku.jpg 横笛(エアリード楽器)について今までで最も具体的かつ有益な情報が掲載されていました。それも道理で著者はエアリード楽器の音響学を中心に40年以上研究されている第一人者とか。
中でも歌口の形状については本文によると「著者がこの仕様を発表して以来、わが国のフルートの歌口は大体これに沿って作られるようになったようである」とのこと。
歌口形状を以下図にしました。

『新版 楽器の音響学/安藤由典著』

utaguchi-katachi.jpg
○歌口エッジの深さ = 5.6mm±1.1mm (実形 lm=5.9mm、le=6.0mm)
○ビーム側エッジのふくらみ = 0.15±0.05mm (実形 b=0.08mm)
○エッジの歌口面への傾き(拡度) = 17°(実形 ∠R x 2=17.5°)
 ※ビーム側と唇側の合計
○歌口開口面積 = 1.1±0.05cm2 (直径に直すと11.56mm-12.1mm)
 ※たぬ笛は12mm。ううむ
が理想とか。確かに手元のリシ笛、たぬ笛のエッジの深さをはかると6mm弱でした。
これは内径・歌口径が分かれば必要な壁厚が求められることになります。内径・壁厚から歌口径を求める方がよいかな。どちらにせよ三角関数が必要そうでまだ計算できていないのですが、これはぜひ式にしたいと思います。しかしビーム側エッジのふくらみの0.08mmとは1/100mm単位ですか。計測のしようがない単位ですね。


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2004.10.26

リシ笛は1/f ゆらぎだった!

「笛のパワースペクトル分析」で準備はできたので、早速測定してみました。以下の4本がわかりやすいデータがとれました。
全て最も低い筒音を5秒以上吹き続けた時のグラフです。移動平均は5秒なので最新5秒の平均値になっています。

2004/11/06 MP3追加。演奏するとかなり違うのですが単音では篠笛以外違いは小さいです

リシ笛G管
spectrum-G-rishi.gif 倍音列の波形も1/f ゆらぎを示す傾きも美しい限りです。1/f ゆらぎとは自然の随所で見られる全くのランダムでもなく、完全に規則的でもない適度なゆらぎを示しており、波打ち際の音、木目等自然はほとんど1/f ゆらぎになっているそうです。
 電車で眠くなるのも揺れが1/f だからだそうで、人が快感を感じるパターンだそうです。
 リシ笛を竹主喜が聞いた時は「やさしく」感じますが科学的にはこういうことだったのですね。


たぬ笛(音が正確だが音色がよくない/F-20040918-1)
spectrum-F-20040918-1.gif まず5000Hzぐらいのところで傾きが変わってしまっています。300-3000Hzの倍音列はまあ形になっていますが、傾きが足りません。これを聞くと「硬い音」になるのですね。


たぬ笛(よい音色だが、大甲音がすごくでにくい/G-20040910-2)
spectrum-G-20040910-2.gif 以前南房総の栗山様に試奏していただいた時に最も音がよいとが研究用に手元においた方がよいといっていただいた笛です。おかげで今回研究になりました、ありがとうございます。。倍音列が不揃いなところが音色の違いなのでしょう。あとこれは別問題になりますが大甲音が出にくいことです。


獅子田篠笛
spectrum-shinobue.gif ちなみに手元にあった篠笛も測定してみました。やはり4000Hzぐらいで傾きが変わっています。傾きが急=1/f2なのでこれを聞くと高音がたったよく通る音になるのでしょう。


 分析としてはおもしろいものができたと思います。…問題はどうやって作るかですよねぇ。

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笛のパワースペクトル分析