2と3の音の考察 -管内の乱流が吹き心地を悪くしている
■問題点
今度知り合いの結婚式で笛を吹くようお願いされてしまいました。早速練習をしはじめて改めて気づいたのが
2 [歌 ●●● ●●○]と3[歌 ●●● ●○○]の音がかすれるというか伸びが悪いのです。
※1オクターブ目は伸びがよいが、2オクターブ目の伸びが悪い
※1,4,5,6は1,2オクターブ目とも伸びが悪くない
※2より3の伸びが特に悪い
※篠笛では同じ現象は起きない。リシ笛はたぬ笛より伸びがよいが篠笛より若干かすれる。
■管内の乱流が原因!?
たぶん原因は管内で乱流が発生して音の伸びが悪くなっているのでしょう。
乱流とは流体が非定常的な流れになっている状態で、例として蛇口の水が少ない間はまっすぐに落ちている(層流)が、水が多くなると乱れた状態のことで、抵抗を増やすので流体力学として物理の主題の一つになっています。
※速度が増すと乱流になりやすい(1オクターブ目は伸びがよいが2オクターブ目は伸びが悪い)
※指穴の間隔が他と違い狭くなる2,3孔で発生しており、間隔が同じ篠笛では発生していない
ことからも2,3の音の伸びの悪さは乱流が発生しているからと考えてよさそうです。
■乱流を少なくする方法
a. 発生源の大きさを小さくする
乱流の発生元は接近している2孔に対しての3孔と思われます。3孔の直径を小さくすればよいでしょう。
リシ笛では3孔は小さくなっていますが、たぬ笛では指穴サイズは揃えていました。
3孔を小さくすれば同じピッチを得るためには管頭側によせる必要があり、下記bの距離を離すことにも
つながります
b. 発生源から距離をあける
2孔と3孔の間はミとファなので他の指穴と違い半音なので距離が小さいです。
2孔を大きくすれば同じピッチを得るには管尻側によせる必要があり、2,3孔の距離が離れます。
また2オクターブ目の筒音である1の音は他の音より伸びがよいですが、これは管の直径>指穴
だからでしょう。指穴は大きくすればするほど音が大きく伸びがよくなりますが、指でおさえられる
サイズが上限のため、10.5mm程度になっています。2孔だけ大きくすることで、抵抗が減り
音の伸びがよくなる効果もあると思われます
これがリシ笛などで2,3孔の大きさが違っていた理由なのですね。
c. 抵抗の少ない形状にする
流線型と言われる形は乱流をおさえるためです。リブレットといわれる筋が飛行機の翼表面にはあり乱流を
押さえているそうです。
3孔の乱流をおさえるために、流線型になるように3孔の管尻側内壁をアンダーカットしてみました。
早速試してみたところこのアンダーカットだけでも伸びがよくなりました。
d. 乱流を分散する
ゴルフボールにへこみがある(ディンプル)なのはボールの進行方向後ろで発生する乱流を減らすために
ボール全面で乱流が発生するようにしているそうです。この方法は今回の対象外かな。
■対応
上記a. b. c.が効果があるように思います。
次につくる時に試してみたいと思います。


○無塗装
写真のようなパイプを用意しました。太いパイプが内径20mm、細いパイプが内径15mmでプラスチックリコーダーにほぼはまります。いくつかの長さの細いパイプと太いパイプを組み合わせることで途中が太くなっている管のオクターブ比を測定しました。






先日の第一回響歌合宿に小学生の女の子が一人参加していました。
たぬ笛のデータを散布グラフにしました。横軸がオクターブ比、縦軸が歌口面積x管頭の体積です。確かに歌口面積を大きくするか管頭体積を大きくする(=歌口を管尻に寄せる)とオクターブ比は下がる傾向あるようです。ただ管頭の形状の違いもあってかきれいな分布にはなっていません。
電気工学の世界ではLC共振(発振回路)の性能を示す値としてQ値が使われます。共振・発振周波数において共振・発振電流が電源電流の何倍になっているかを示す値がQ値です。笛でいうと息の何倍の強さの空気量=音量が出ているかを示すといえそうです。
たぬ笛の過去データから管内径(直径)と筒音の開口端補正値を分布グラフにしてみました。
これまではコイルやコンデンサーの単体としてしかみていなかったのですが、今回は組み合わされた回路として見てみました。するとコイルとコンデンサを組み合わせたそのものずばりの回路がありました。『LC並列発振(共振)回路』といい電気工学の教科書には必ず出てくる基本的な回路です。Lはコイル、Cはコンデンサを示します。歌口から吹き込む息を交流電源とし、管頭の空気がたまる部分をコンデンサ、空気が渦を作る管をコイルと見なした回路図が右です。
そーれーさんにいただいた竹は節も含めて断面になっていました。竹主喜は今まで節の断面を作ったことがなかったので見て驚きました。先日ヤマハのフルートの解説のページで見たテーパーとほとんど同じ形です。この竹ならYテーパ(中・高域の抜けが良い)かCテーパ(ストレートな音抜け)というところでしょうか。ちなみにこの竹は節こぶが結構あります。節こぶがあればYまたはCテーパに近くなり、節こぶがなければGテーパー(豊かで芯のある中・低域)に近くなると考えるとこれまでの経験と一致します。
指孔・歌口の断面はそのままでは撮影できないので、撮影できるように調律に失敗した笛を写真のように切りました。これで指孔断面の撮影ができます。


以前笛の上級者に吹いてもらったところもっと顕著にでたのですが、竹主喜では繰り返し試してみないと調整できませんでした。しかし半月、メリ・カリでピッチだけではなく音色を決める音の成分が変わるようです。
d : 歌口の深さ
横笛(エアリード楽器)について今までで最も具体的かつ有益な情報が掲載されていました。それも道理で著者はエアリード楽器の音響学を中心に40年以上研究されている第一人者とか。
リシ笛G管
倍音列の波形も1/f ゆらぎを示す傾きも美しい限りです。1/f ゆらぎとは自然の随所で見られる全くのランダムでもなく、完全に規則的でもない適度なゆらぎを示しており、波打ち際の音、木目等自然はほとんど1/f ゆらぎになっているそうです。
まず5000Hzぐらいのところで傾きが変わってしまっています。300-3000Hzの倍音列はまあ形になっていますが、傾きが足りません。これを聞くと「硬い音」になるのですね。
以前南房総の栗山様に試奏していただいた時に最も音がよいとが研究用に手元においた方がよいといっていただいた笛です。おかげで今回研究になりました、ありがとうございます。。倍音列が不揃いなところが音色の違いなのでしょう。あとこれは別問題になりますが大甲音が出にくいことです。
ちなみに手元にあった篠笛も測定してみました。やはり4000Hzぐらいで傾きが変わっています。傾きが急=1/f2なのでこれを聞くと高音がたったよく通る音になるのでしょう。
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