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2005.03.12

中根東八幡社神楽

Googleで「たぬ笛」を検索してみると見つけました、お仲間サイトを。

中根東八幡社神楽 『笛をつくる』

 リンクのページに「たぬ笛のページ」があったので見つけることができました。神楽の独自の音程を再現する笛を作るため、塩ビ管で管の長さ、太さ、孔の大きさを実験で値を計測しグラフにしておられます。あんまりおもしろいのでメールをさしあげたところお返事をいただきました。参考になりそうな技術部分を引用します。

塩ビ水道管の笛は、どうしても5〜7孔のオクターブ比が1.95以下ぐらいに
なってしまいますね。ただ、うちにある女竹の篠笛でも、内径の細いもの(内径
11mm以下)はやっぱり5〜7孔のオクターブ比が良くないようです。

一般的に、フラットな内径では、1→7孔になるにつれて開口端補正が大きくな
りますが、内径が細いとこの傾向が強くなるようです。太いものは、比較的オク
ターブ比が良いようです。
また、フラットな内径では、内径が細くなるほど開口端補正は全体に小さくな
ります。ただ、呂音に比べて甲音では小さくなる程度が少なく、特に唄口に近い
指孔ではその傾向が強いようです。
ということで、唄口に近づくにつれて太くなるような女竹の篠笛では、太さの影
響で5〜7孔あたりの甲音の開口端補正がやや小さくなるので、オクターブ比が
良いのだと考えているのですが、いかがでしょうか。

太さが均一な細めの「たぬ笛」では、オクターブ比はどうなんですか?

 オクターブ比の話ですね。甲音か乙音の調律が合うようになれば、次に問題になるのがオクターブ比です。オクターブ比の向上(2.0に近づけること)が笛の性能を決めますから重要ですよね。
 さてここでは管尻から1,2,3孔と数えているようです。
 たぬ笛ではオクターブ比は1孔(筒音)が2.02-2.05、6孔(歌口側/7孔はありません)が1.95以上になるようにしています。1.95以下はB級品にしています。竹主喜の実感ではオクターブ比は指孔の大きさ、内径、材質の順に影響を受けているように感じています。
 確かに内径は太い方が同じ調で指孔が同じならオクターブ比が平均的によいようです。調に対してあまり太すぎると大甲音がでなくなってしまいますが…
 材質は同じサイズ(長さ、歌口位置等)でも女竹は1孔のオクターブ比が2.02-2.05になるのに、虎竹では大体2.00です。 
 指孔の大きさが最もオクターブ比に影響しているようです。指孔を小さくすると同じピッチにするにはより管頭に寄せる必要があります。そして管頭に近づくほどオクターブ比は悪化します。
 オクターブ比をよくするには内径が太く指孔が大きい方がよいようです。細くて指孔が小さいとオクターブ比1.95以上を維持することはかなり難しくなっています。

 かのうさんコメントお待ちしております。
 

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コメント

内径16mmと13mmの塩ビ水道管、内径11mmのアクリル管の3つで、それぞれ笛を作って実験をしてみましたので、ちょっと結果をご紹介しましょう。
唄口から130mmぐらいのA孔と230mmぐらいのB孔を比較してみました。Aは指遣い7の孔(唄口に近い方)、Bは指遣い2または3の孔(管尻に近い方)です。1孔は筒尻までの距離と筒尻の開口部の大きさにかなり左右されるので、2または3孔を代表にしています。
開口端補正については、竹主喜さんがこのサイトでも詳しく書かれていますので省略しますが、その音の波長に倍音の数をかけたものから共鳴管の有効管長(唄口の管尻側エッジから指孔の管頭側エッジまでの距離)を引いた残りです。室温は22℃で計算しています。

A孔の開口端補正は、
呂:16mm=65.4 13mm=46.5 11mm=35.8
甲:16mm=66.2 13mm=53.0 11mm=43.0
B孔の開口端補正は、
呂:16mm=65.7 13mm=44.5 11mm=34.5
甲:16mm=64.5 13mm=47.9 11mm=38.4

A孔のオクターブ比は、
 :16mm=1.99 13mm=1.93 11mm=1.92
B孔のオクターブ比は、
 :16mm=2.01 13mm=1.98 11mm=1.97

内径16mmでは、どの指孔でも開口端補正は誤差程度の差しか無く、甲音呂音の差もほとんどありません。オクターブ比は、結局どの指孔でも極めて2.00に近く誤差範囲内という感じです。

内径13mmでは、16mmに比べ開口端補正が甲呂音ともに小さくなっています。しかし、よく見ると開口端補正は甲音と呂音で差が認められ、A孔(唄口に近い方)の方が、より差が大きいことがわかると思います。

オクターブ比=2*(有効管長+呂音の開口端補正)/(有効管長+甲音の開口端補正)

ですので、開口端補正が呂音よりも甲音の方が大きければ、オクターブ比は2より小さくなります。そして、甲音の方がずっと大きければ、オクターブ比はかなり小さくなります。この呂音と甲音の開口端補正の差は、B孔よりもA孔の方が大きいため、B孔よりもA孔の方がオクターブ比が悪くなるということだと思います。

内径が太いほどオクターブ比が良いことは確かですが、この結果から、同じ内径でも低いスケールの笛、つまりC管よりもA管やG管の方が、オクターブ比が良いということも言えると思います。指孔が全体的に唄口よりも離れた位置にあるわけですからね。

内径11mmの笛に関しては、内径13mmの笛と同様の傾向がさらに強まるということで、数値をみればだいたいわかると思います。

ここで、「開口端補正の意味」について少し考えてみたいと思います。

開口端補正=((波長/2)*N)-有効な共鳴管の長さ (Nは倍音の倍数)

という式になりますが、要するに、開口端補正は定常波が共鳴管からはみ出した部分の長さですよね。開口端補正の分だけ波がはみ出たせいで、その共鳴管で本来出るはずの周波数よりも低い音しか出ていないわけです。
開口端補正が大きけれは、その共鳴管で本来出るはずの音程よりもずっと音程が下がるということで、定量的には変ですけど、開口端補正は「本来その孔の持つ固有の音程からどの程度ピッチが下がっているか」を表しているとも考えてよいのではないかと思うのです。

そういう観点から見てみると、「内径が太い場合には、甲音も呂音もかなり下がっているけれど、同程度なのでオクターブ比は良い。内径が細くなると、甲音も呂音も固有の音程に近づいて行くけれど、甲音の方が呂音よりも近づきにくく、唄口に近い指孔の方が唄口から遠い指孔よりも固有の音程に近づきにくい」ということではないかと思うのです。

投稿: 狩野 良雄 | 2005.03.13 02:52

前回のコメントの追加です。

「竹主喜の実感ではオクターブ比は指孔の大きさ、内径、材質の順に影響を受けているように感じています。」とおっしゃっていますが、内径が細めの場合は、指孔の位置よりも内径の方がはるかに大きな影響があると思います。

http://nakane-kagura.hp.infoseek.co.jp/fue/yubi02.htm
の一番下のグラフを見ていただくとわかると思いますが、13mmの塩ビ水道管横笛では指孔サイズが1mm小さくなると開口端補正が1.5mmぐらい大きくなるようです。しかし、
http://nakane-kagura.hp.infoseek.co.jp/fue/yubi03.htm
の一番下のグラフを見ると、内径13mmが11mmに小さくなっただけで、開口端補正は9~12mmぐらい小さくなります。

開口端補正の差はだいたい指孔の位置の差と同じと考えて良いので、指孔サイズを1mm小さくすると孔の位置は1.5mmぐらい管尻の方へ移動する必要があるということです。また、内径を13mmから11mmに細くすると、9~12mmだけ孔の位置を管尻の方に移動する必要があるということです。

前回のコメントにも書いたように、内径16mm付近では呂音と甲音の開口端補正がどの指孔でもほとんど同じなので、オクターブ比は2.0に限りなく近づきます。16mmと13mmの間の実験がしてないのでどの程度内径が太くなると呂音と甲音の開口端補正が等しくなってくるのかはっきりしませんが、竹主喜さんの作られているたぬ笛はやや内径が太めですので、そのために内径の差よりも指孔のサイズの差の方が大きな影響があるのだと思うのです。

材質に関してはよくわかりません。内径13mmで肉厚3mmというアクリル管も売っているので、そのうちに実験をしてみたいと思っています。

音程に関しては、唄口の大きさや形もかなり影響します。横笛は開管の共鳴管ですので、指孔のサイズと同様に反対側の唄口のサイズも開口端補正に影響を与え、唄口が大きくなると開口端補正が小さくなり、音程が上がります。これがオクターブ比にどのような影響があるのかはよくわかりませんが、関係があるのかもしれません。


投稿: 狩野 良雄 | 2005.03.13 11:31

狩野さんへ
 詳細な書き込みありがとうございます。まだ読み込みが足りないかもしれませんが、書き込みはほぼその通りだと思います。
 ただ2点ほど竹主喜の実感と違うところがあります。

>同じ内径でも低いスケールの笛、つまりC管よりもA管やG管の方が、オクターブ比が良いということも言えると思います
 これがそうではないのです。C管(指孔9mm内径13.3mm,14.9mm)でオクターブ比が1.98-2.04になりました。A管やG管(指孔10mm内径15mm-16mm)ではオクターブ比が1.97-2.04と同程度かC管の方がよいのです。

>内径が細めの場合は、指孔の位置よりも内径の方がはるかに大きな影響があると思います
 こちらなのですが、少なくとも内径16mm強の女竹のG管では指孔サイズを10mmから8.5mmに-1.5mmするだけで約10mm管頭側に移動しないと同じピッチを得られませんでした。10mm管頭に移動するとオクターブ比はそれだけ悪化します。(1.90とか1.88とかになりました)1.5mmの内径の差よりも1.5mmの指孔の大きさの差の方がオクターブ比が悪いと思ったのです。
>指孔サイズを1mm小さくすると孔の位置は1.5mmぐらい管尻の方へ移動する必要がある
 これはたぬが感じている動きと逆ですね。どうしてでしょうね。

 実験により横笛の振る舞いについては大体わかりました。次は今勉強中ですが、端補正の変化=オクターブ比の変化を説明すると理論を共振から立ててみたいと思っています。

投稿: 竹主喜 | 2005.03.13 21:27

すみません。前回のコメントの、
「開口端補正の差はだいたい指孔の位置の差と同じと考えて良いので、指孔サイズを1mm小さくすると孔の位置は1.5mmぐらい管尻の方へ移動する必要があるということです。また、内径を13mmから11mmに細くすると、9~12mmだけ孔の位置を管尻の方に移動する必要があるということです。」
は間違いで、両方とも「管頭の方へ移動」でした。頭がボケていましたね。

私の方の作っている笛は7本調子から12本調子ぐらいのもので、B管~E管とかなり高音域のものです。内径も11~13mmぐらいの材料を使っているので、「たぬ笛」とはかなり状況が違うみたいですね。

指孔の大きさに関しては、内径13mmの笛で指孔を9mmを10mmに増やしても、開口端補正の差は1mm程度でしたし、内径11mmの笛に直径10mmの指孔を作ることはあまり現実的ではありません。内径16mm強の笛ではかなり変化するようですから、内径によって随分違うみたいですね。内径16mm前後の笛は、私の扱っている笛とは別世界のもののようで、とても参考になりました。

内径の細い笛を作っているとどうしてもオクターブ比は1.9台前半になりますし、そもそもピッチは非常に不安定で、唄口に近い指孔は周波数の測定すらかなりいい加減なものです。どちみち音程はメリカリや息の強さで補正すれば良いと考えているので、最近は、指孔固有の音の高さよりも唄口の性状による「音の自由度」の方に力点を置いて考えています。

わずかな唄口の形の差、つまり、丸に近いのか四角に近いのか、縦横の比、断端の状態、アンダーカットの程度など、わずかな差で「音程の自由度」や「音色の自由度」が随分変化しますよね。リューターで削ったり顕微鏡で見たり、竹主喜さんの唄口の断端処理の記事は面白かったです。とても興味深く読ませていただきました。

また、遊びに来ますので、よろしくお願いします。 (^_^)/~~~

投稿: 狩野 良雄 | 2005.03.13 23:36

狩野さんへ
 オクターブ比は指孔の面積と管共鳴部分の体積の比で決まってきているように思います。なので、内径16mmのG管なら指孔10.5mm程度、内径13mm強のC管なら指孔9mm程度なら同じ比率になるためオクターブ比が1.95以上で同程度になるようです。

 とはいえ、たぬも7孔の篠笛をコピーしたことがありますが、考えてみればオクターブ比も同じになるようにしないとオリジナルの笛と音程が合わなくなるのですから、たぬの話のガイドが間違っていましたね。失礼をば。

 歌口の形、内壁のオイル処理を終えて改良点がなくなったので、ここは再度理論に立ち返って考えて改良点を探そうと考えています。狩野さんの「歌口エッジから指孔エッジまでの共鳴」という一言は大いにヒントになっています。

 これからもよろしくお願いいたします。

投稿: 竹主喜 | 2005.03.14 07:31

狩野さん、初めまして。
早速HPをのぞかせていただきました。グラフなど大変わかりやすいですね。

またこちらでの、たぬさん、狩野さんお二人の議論、興味深く拝見させていただきました。
内径16mmの笛でのオクターブ比がほぼ2.0になるという点や、
歌口のエッヂから指穴のエッヂまでの距離などなど・・・

色々勉強して良い笛を作りたい・・・そういう思いを強くいたしました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

投稿: まさ | 2005.03.14 11:44

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