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2004.10.26

『音の不思議をさぐる -音楽と楽器の科学』

explore_music.jpg 音楽と科学に興味を持つ人必携のすばらしい本でした。楽器制作者なら目を通して損はないはずです。
 イギリス王立研究所では1826年以来毎年クリスマスに科学者による講演を企画しているそうですが、この本は著名な物理学者であるテイラー教授が1889-1990年に行った講演の内容を著作にしたものだそうです。
 この本には高等数式は一切登場しません。にもかかわらず内容は大変深くしかも大変わかりやすかったです。一流の科学者の説明は簡単でわかりやすいですがその最たる例のようでした。

 竹主喜が最も影響をうけたところをあげます。

○物理的に存在する空気の波である音と、人間が認識している音は大きく違う。
 耳-脳システムで処理されることで、例えば同じ音量でも周波数によって人は音の大きさを違って感じる
 またマスキング効果で複数の周波数の音を聞くと存在しないはずの音を脳が補って聞くことがある
 また同じくマスキング効果で短すぎる音、短すぎる音の断続は脳波は検知していても感覚が無視する

○指孔には以下の3つの機能がある(竹主喜は1しか明示的に理解していませんでした)
 1) 音のピッチを決めること
 2) 管の中の振動を保ち、音色(レシピ)をコントロールすること
  指孔を開くことで管の実行長を短くしてピッチが決まります。指孔から音がでるのですが、これは低い
  周波数のみにあてはまり、高い周波数では指孔を素通りして管尻から音が放射されます。
  指孔部分の空気が特に高い周波数で抵抗になるためですが、このためコンデンサーを直列につないだ
  状態になってハイパスフィルター(低音をカットしてしまう音響フィルター)として動作するというのです。
  また理論をどう工学につなげるか見えていませんが重要な指摘です。
 3) 音の放射をコントロールすること
  音量・吹きやすさに影響する点です。重要性は分かっていましたが指孔を大きくする以上のアプローチが
  見えていませんでした。

『音の不思議をさぐる -音楽と楽器の科学/チャールズ・テイラー著/佐竹淳・林大訳』

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